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2009年 04月 24日

Palazzo Comunale (市庁舎)

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マッジョーレ広場の西側にボローニャ市庁舎が建っている。私が知る限りイタリアのどの町も、町の大小に拘わらず、市庁舎は大抵一等地にあるものだ。ボローニャ市庁舎もまた例に漏れずに、と言うことになる。この大きな建物は実は複数の建物によって構成されていて、そのうちのひとつ、向かって左側の部分は13世紀終わりに市が買い入れたものだ。元を辿るとこの建物はボローニャ大学で法学の教鞭を振るっていたAccurusio (アックルーシオ)氏の持ち家だそうで、そう聞いて改めて外から眺めてみると個人の持ち家にしてはとんでもなく大きく、Accurusio家が如何に裕福であったかを簡単に想像することができる。この建物はボローニャ市に買い取られた当時、小麦の公共取引所なるものとして使われていたが、後には行政官庁に携わる長老たちの住いとして利用されたそうだ。14世紀前半には建築家Fioravantiによって正面中央の門が、そして奥には小さな中庭が作られた。
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この中庭と言うのが実にさっぱりしているのだが個人的に大変気に入っていて、町歩きに疲れたときなどにふらりと立ち寄っては大抵の場合先客のいるベンチがたまたま空いていると幸運と言わんばかりに腰を下ろす。この中に入ってくる人は案外少なくて居心地が良い。結婚の儀式が上の階であるときはこの小さな中庭が新郎新婦を祝う人々で一杯になってしまう。しかし喜びを分かち合う人々を庭の端っこで眺めるのもたまには良いものだ。 祝う人々の手には米粒が握られている。階上から降りて来る幸せに満ちた新郎新婦をめがけて米を投げるのだ。私もそうやって友人達を祝ったことがある。もう昔のことになってしまったけれど。結婚式の日以外は町のど真ん中にありながら建物の中も中庭も驚くほどひっそりしているボローニャの市庁舎は足を踏み入れるのを一瞬躊躇しがちだが、訪れる人たちを決して拒むことは無いので一度は見て頂きたい。歴史ある建物なのに仰々しさも偉ぶった様子も無く、素朴。それはまるでボローニャという町とそっくりなのだから。

# by paesi | 2009-04-24 23:55 | ボローニャ旧市街
2009年 04月 19日

Piazza San Domenico (サン・ドメニコ広場)

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マッジョーレ広場から南西へと歩いて5分くらいだろうか。其処にChiesa di San Domenico (サン・ドメニコ教会) がある。教会が建てられたのは13世紀のことでこの教会にまつわる興味深い話は尽きない。大体、この教会がボローニャにあることからして関心深いのだ。スペイン生まれの聖ドメニコが1221年にボローニャで亡くなった為にドメニコ修道会の総本山であるサン・ドメニコ教会がボローニャに作られたのだ。外から見ると一見地味で興味をあまりそそらないが、中に入ると意外と大きく目を見張るような絵画や彫刻が納められていてひと回り見て歩くのも大変な時間が必要だ。聖ドメニコの墓が教会内に納められているが、それは当時の第一級彫刻家として知られていたNicola Pisano と彼の弟子の手によって作られた芸術作品と呼ぶに等しい物である。全く素晴らしいものなのだ。ミケランジェロの彫刻もある。18世紀前半には4年にわたって改築工事が行われ現在の姿となった。モーツアルトがここを訪れてパイプオルガンを弾いたのはそれから約40年後のことである。この教会を訪れる人は後を絶たない。そんな中、私のように中も良いけど外はもっと良いと思う人も居る。教会の正面から左側に向けて広がるサン・ドメニコ広場。教会の前はいつも何かの催しや訪問者で賑わっているので、教会左手の広場が良い。幾つかのベンチが設けられていて、本を読む人あり、買い物の途中に休憩する人あり、犬の散歩仲間達がお喋りを楽しんだり、私のようにそんな人々を観察する人だっている。何しろ静かなのだ。旧市街の真ん中ともいえる場所でありながら、こんなに静かで居心地が良いのは全く不思議だ。背の高い樹もあれば、青い空もある。ここはボローニャの人達のちょっとしたオアシスなのだ。

# by paesi | 2009-04-19 23:12 | ボローニャ旧市街
2009年 04月 13日

Corte Isolani

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2本の塔からStrada Maggiore を歩き出して5分としない辺りにCorte Isolani (イゾラーニ家の館)がある。面白いのはこれをCorte (宮廷) と呼んだりPalazzo (館) と呼んだり単にCasa (家)と呼ぶこともあることだ。書物によって呼び方が違うのは何故だろう。私は今までCasa と呼んでいたけれど、実際建物の壁にCorte Isolani と記されているのだからそう呼ぶのが良いだろう。さて、それでこのCorte Isolani は13世紀に当時の上院議員だったIsolani の住まいとして建てられたものだ。古い建築物はボローニャ旧市街に沢山あるから、それだけを語るならあまり珍しくもない。ただこれが他と違うのはポルティコの柱と梁が樫の木材で作られていることだ。ポルティコの高さは9m。地上から見上げても道の向こう側から眺めても圧巻だ。1877年に建物が持つ元来の特質を失わないように同じ素材を利用して修復された。もともとポルティコとは住宅事情の悪さから生まれたものらしい。歩道をポルティコ覆い、その上に部屋を作る。それからポルティコの下では職人達が仕事をしたという。暗い仕事場よりも断然明るい、しかし雨風から守られたポルティコの下で仕事するのが好まれたのだろう。話を戻すとポルティコが住宅事情の悪さから生まれた代物ならば、こんなに天井が高くてその上には一階分しか部屋を作らなかったのは理に合わないけれど、裕福な家なのだ。住宅事情は決して悪くあるまい。たぶん単に歩道を覆うために作られたものなのだろう、と私なりに理解してみた。現在この建物には沢山の店やオフィスが入っている。少しスノッブな匂いのする場所で、どの店も一様に高い。しかし目の保養にはとても宜しく、ひとりで、それとも友人達と美しいものたちを物色しながら歩くのはとても楽しい。中にあるワインバーやカフェは思ったほど高くない。安くこそないがこの程度の値段なら許せるというレベルである。こんな私ですら時々友人と利用するのだから保障つきだ。ワインバーは地元の人達が金曜日の夜になるとここに集まるので、直ぐに一杯になってしまう。そんな賑やかな様子を眺めるのも案外楽しい。ただ、レストランはどうだろう。まだ勇気がないので未開の地だ。階段を上がったり降りたりしながら真っ直ぐ行くと建物の反対側にあるPiazza Santo Stefano (サント・ステファノ広場) に出るという仕組みだ。

# by paesi | 2009-04-13 16:12 | ボローニャ旧市街
2009年 04月 11日

Biblioteca sala borsa

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市庁舎に隣接して在る、ボローニャ市が所有物するこの建物を現在私達はBiblioteca sala borsa と呼んでいる。旧取引会場である。歴史を辿っていくと単にそれだけでなく、なかなか面白い話も背後にある。が、今日はそういったことは置いといて現在の姿を見て貰いたい。建てる為に地面を掘ったところローマ遺跡が出てきたそうだ。地上階に分厚いガラス板を張っているのは、それらを保管するためである。そしてそうすることで私達は遥か昔の時代を単なるお話ではなくて本当に存在したことであることを実感することが出来るのだ。日本式に言う三階建てのこの建物は外から見るとごつくて薄黒いが、狭い入り口を潜り緩い下り坂の廊下を歩いて広間に一歩足を踏み入れると一瞬足がすくむ。広間の天井は吹き抜けで周囲には階ごとに回廊がめぐらされている。吹き抜けの高い天井にはリバティ様式のフレスコ画が施されていて、とても優雅だ。何年か前、ここに本屋が入っていた。何と言う名だっただろうか。あまり長く続かず、ある日立ち寄ってみたら閉店セールをしていた。半額にもなった前から欲しかった何冊かの本を両腕に抱えて家に帰ったのは何年前のことだっただろう。その後、ここは図書館になったのだ。素晴らしい発想ではないか。毎日新しく出る新聞を自由に閲覧することも出来ればインターネットを利用することも出来る。地上階と最上階では展示物があり、思いがけずいいものを鑑賞する機会に恵まれたりと、ここは一般市民に開放された宝石のような場所だ。それだけでない。夏の暑い日差しや冬の冷たい風に疲れた時、天気の悪い日の友人との待ち合わせに、ここは最適な場所なのである。

# by paesi | 2009-04-11 20:13 | ボローニャ旧市街
2009年 04月 08日

palazzo dei notai (公証人の館)

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マッジョーレ広場に面して建つポデスタ宮殿の地上階のここに、ボローニャの人々は腰を下ろして寛ぐのが好きだ。石段に腰を下ろすのも良いが、ちょっと奮発してカフェのテーブル席につくのもたまには良い。奮発して、と言うのには理由がある。何しろ一等地にあるカフェのテーブルについて頂くカップチーノは格別な味がするような気がするものの、一瞬聞き間違えたかと思うような不親切な値段がついているからだ。それでいて一度この席に座る喜びを味わってしまうと、その不親切な値段にも拘らずまた其処に座りたくなる。何しろ眺めが良い。人間観察にはもってこいの場所である。そしてひとりでほっと一息をつきながらカフェをするにもとてもよい場所だと思う。この席の正面に見えるのはpalazzo dei notai (公証人の館)。サン・ペトロニオ教会とは小道を挟んで隣り合うこの館は14世紀前後に建てられ、幾度か修復を繰り返しながらその姿を保ち続けている。この建物、実は初めに左側半分、つまり教会側が作られた。そして半世紀後に右半分が増築されたそうだ。成る程、よく見ると地上階のつくりが違う。そんなことを聞かなければ気がつかない程度の違いだけど。公証人にはあまり縁のない私であるが、そしてそれで良いとも思っているのだが、この建物には何かと縁があり幾度となく足を運んだ。まずは教会に面した場所にある地上階の小さなバールだ。何時の頃からか知人が誰かと共同経営しているので、近くに来たついでに立ち寄る。それから広場や通りからは見えない奥まった場所にあった小さな散髪屋。これも知人がやっていたので散髪をして貰うことはなかったが立ち寄っては年配の散髪師を時々バールに誘った。そんなことも散髪師が年金生活に入ることを決心した数年前を期に店はあっさりとたたまれて、散髪師も店もセットにして過去のことになってしまった。上の階にはcentro di documentazione delle donne といって女性をサポートしてくれる協会が在った。私は決して困っていたわけではないけれど何度かインターネットを無料で使わせて貰った。女性だけに開放されている空間で利用しない手はなかった。あれからもう何年も経つけれど、今も女性に空間を開放しているのだろうか。近いうちに立ち寄ってみることにしよう。それから広場に面した地上階にある老舗の仕立て屋さん。長い間この店がとても気になっていた。この冬のこと、ショーウィンドウを眺めていたら美しいブルーのマフラーが目に入った。紳士向けのものらしかったが、その美しい色や柄は紳士だけにでは勿体無いと思った。早い話が自分にとてもよく似合うと思ったわけだ。中に入って聞いてみるとそれは表地が重みのあるシルク、裏地がさらりとした手触りのウールの二枚合わせのマフラーで店で作っていることが分かった。首に巻いてみると良く似合った。店の人に他の色もあったら見せて欲しいと頼んでみた。すると生地を選べば作ってくれると言う。こんなのがある、あんなのがある、とまるで呉服屋の奥で反物を広げるみたいにして数々のシルク地を広げて見せてくれた。その中から陽だまりのような暖かい橙色を選び出し、そして橙色が映える色のウール地を選んだ。冬の割引を良いことに美しいブルーと暖かい橙色の二枚を購入した。ちょっと太っ腹すぎたかと後悔したが、それらの美しさといったら、暖かさといったら、肌触りのよさといったら! 何処へ行っても褒められた。あまり嬉しかったので近くに来たついでに店に立ち寄って報告したら皆とても嬉しそうだった。そんなこともあって、私には大変身近に感じられる建物である。公証人に用はないが、用が他の色んな所にあるこの建物とはこれからも付き合いが続きそうである。

# by paesi | 2009-04-08 23:46 | ボローニャ旧市街