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il paese - provincia di bologna +

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2009年 12月 30日

運河

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イタリアで運河と言えばヴェネツィアだけど、探してみれば色んな町に存在する。例えばミラノ、例えばフェッラーラ。ボローニャにだって運河は存在するのだ。イタリアの中程に位置するボローニャは中世の頃から商業の町として繁栄していたそうだ。交通手段は船が使われ、船は運河を通ってアドリア海へと出ることが出来たそうだ。当時ボローニャには裕福な繊維業を営む一家がお屋敷を構えていたとのことだけど、繊維、特に絹の商いは盛んだったらしく、ボローニャからアドリア海の港へ、そして国外へと輸出されていったと言う。そのボローニャの運河も殆どが地下と化した今は、ごく僅かしか見ることが出来ない。旧市街で言えばVia A.Righi の南、Via Oberdan とVia Piella の間がそれで、ボローニャに運河があるとは知らずに訪れる人達に一瞬の驚きを与え、その時代遅れな風景がほっとさせてくれる。大体ボローニャと言う町は古い町で、古いものを頑固に守り続ける主義の町だから、何処を眺めても古いものばかりなのだ。でも、この風景は古いというよりも古きよき時代の懐かしさみたいなものがあって、決して美しい眺めでないのに見る者の目を奪い、何となく写真に収めておきたい気分にさせる。今、この運河は交通手段として利用されることは無く、もっぱら用水路として使われている。昔のような活気はないにしても、この眺めをいつまで戻っておきたいと思うのは単なるボローニャ贔屓だろうか。

# by paesi | 2009-12-30 19:55 | ボローニャ旧市街
2009年 06月 28日

Dozza (ドッツァ)

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ボローニャから南西に走るエミリア街道を真っ直ぐ走って行くとイモラ市に辿り着く。そのイモラ市のほんの少し手前にDozza と言う名の町がある。ボローニャの塔の真下から数えると35kmくらいの場所に位置する。町と言うにはあまりにも小さい。小さな町を取り囲むのはなだらかな丘の斜面に広がる果実畑ばかりである。見所一杯の場所ではないがこの町が好きで何度も足を運ぶ人は案外沢山居る。そうかと思えばボローニャに十何年住んでいながらもDozza のドの字も知らない人も居る。Dozza とはそんな町。地味で可愛い愛着が持てる町、ちょっと足を延ばしたくなる町と言うとぴったり来るかもしれない。町に足を踏み入れると目に飛び込んでくるのが民家の壁に描かれた絵。そのひとつひとつを見て歩くのはとても楽しい。その絵を描く様子を目の前で見ることが出来るのがビエンナーレ。2年に一度の9月のある一週間だけ、家の壁に絵を描く様子を見ることが出来るのだ。
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2年に一度のそれは丁度今年に当たるようだ。昔は絵を描く人が一般公募だったそうで、その中から選ばれた幾人だけがその名誉を預かったらしい。現在はエミリア・ロマーニャ州が指名した幾人かの芸術家が描いているそうだ。Dozza の町の真ん中にある小さなお城の最上階に小さな部屋があり、そこで関係者が色んな絵を見せながら、そう教えてくれた。関係者が居るときだけ部屋へと続く小さな扉が開いている、というのもこの小さな町らしい話である。さて、この小さな城の地下にはエミリア・ロマーニャ州のエノテカがある。州内で作られたワインだけを集めて販売していると言うものだ。まとまった人数のグループであれば試飲会も予約できる。決して安くは無いようだが、なかなか充実した内容であると聞いている。地下の販売所の奥には小さな機械が備え付けられていて、有料で少量づつ色んな種類のワインを楽しめるようになっている。そうして気に入りのを手に入れると良い。この販売所の良いのはワイン農家から入ってくるので、普通の店で買うよりも安く手に入れることができることだ。若干、ではあるが嬉しいではないか。だからと言うわけで、私はここでいつもランブルスコを手に入れる。ランブルスコにしては高めのそれもここでなら纏め買いが出来るという訳だ。ボローニャからこの町へ行くのはなかなか難しい。車で行くしかない。でも、時間を作って足を延ばす価値あり。と、これは私個人の考えだけど。

# by paesi | 2009-06-28 19:19 | ボローニャ近郊の町
2009年 05月 28日

Piazza Santo Stefano

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ボローニャの町の中心に在る二本の塔からVia santo stefano を選んで歩いてみよう。路の右手のポルティコの下を歩くもよいが、どちらにしろ此処は通行規制があって乗り物があまり通らない辺りであるから、ほんの時々後ろからやって来る車やバイク、自転車に気をつけながら路のど真ん中を歩くのもよい。そうすることで路を独り占めしたような気分が味わえるのだから面白い。路の左手には一様に新しい小さな店が並び、右手には反対に一様に古い店が連なる。どちらが良いとは言わない。どちらもそれなりに味がある。少し行くと広場が在る。それがPiazza Santo Stefano 。Chiesa di Santo Stefano の前に広がる、どんな時も人がいて、かといって賑わっているでもなく、サン・ペトロニオ教会の前に在るPiazza Maggiore とは違った意味で大切であり、市民に好まれている広場だ。この広場の真ん中に立ってぐるりと周りを見回すと、自分が現在にいるのか過去にいるのか分からなくなる時がある。それほど保存状態の良いボローニャの歴史地区のひとつである。ボローニャにしろ他の町にしろ、歴史をとても大切にする。そんな考え方を私はイタリアの良い所のひとつだと思っている。さて、7月8月、そして1月を除く月の第二週末にはここで骨董品市場が開かれる。買う買わないは別として、単に見て周るとよい。見ながら学ぶのもよい。本物を見抜く目はそんな風にして作られるのだから。店の人と話もしてみよう。これいくら? 何時頃のものなの? そんな簡単な質問でよい。そういうことで話が始まり、単なる物色に楽しい色が添えられる。骨董品市にしろ何にしろ、売り手と買い手のやり取りが面白いのだから。骨董品市が終わると、広場はまたいつもの空間に戻る。何事もなかったような顔して。

# by paesi | 2009-05-28 19:46 | ボローニャ旧市街
2009年 05月 18日

piazza del nettuno

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市庁舎の前に広がるpiazza maggiore と隣接して存在する広場 piazza del nettuno はいつも若者達で一杯だ。若者達。そうだ、不思議なことに若い人たちばかりが目に付く。ブロンズ製のネプチューン(海神)の噴水を取り囲むようにして人々が腰を下ろしたり凭れ掛かってお喋りしたり、友達を待ったり。二本の塔の下が友達との待ち合わせ場所であるように、ここもまた人との待ち合わせには大変好都合だ。この場所を知らない人はあまりいないし待ち合わせに失敗することもあまりない。私もまた初めて会う人とは大抵此処の前で会う約束をするのである。1500年代半ばに作られたこのネプチューン(海神)の噴水は美しい。人それぞれに違った印象と意見が在るに違いないが、同じ人が見たとしても見る角度を変えるごとに違った印象を得ることが出来る。そして昼に見るもよし、夜に見るもよし。近づいて眺めるのも良い。しかし私が好きなのは広場の前に在るエンツォ王が幽閉されていた館から見ることだ。もっともそれは幸運に門が開いていて一般人が中に入ることを許されている日に当たったら、のことである。私にしても何年も住んでいながら中に入ることが出来たのはつい最近のことなのだ。長年想像していた通りここから見る広場は良い。喧騒から離れて広場を眺める。そんな間接的な広場の楽しみ方があっても良い。

# by paesi | 2009-05-18 23:22 | ボローニャ旧市街
2009年 05月 05日

Le torri di Bologna (ボローニャの塔)

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12世紀から13世紀にかけて、ボローニャには100以上の塔が存在していたそうだ。それは何故か。調べてみるとその時代のボローニャではそれが権力や富の象徴であったことが分かった。成る程、古い本屋に立ち寄ると大抵その頃のボローニャの様子を描いたものが飾られていて、まるでアスパラガスが生えたように町のあちこちに様々な背の高さの塔が存在する様子が描かれている。それ程沢山在った塔も時代を通過する間に短く切られてしまったり壊されてしまったらしく、現在は数えるほどしか残っていない。その数少ない塔の中で皆に知られているのがこのふたつの塔。右手のがLa torre Asinelli (アシネッリの塔)で西に傾いていて、左手のがLa torre Garisenda (ガリセンダの塔)で南東に傾いている。初めて間近で見た時はその傾きに驚いたものだが、そういうものも見慣れるものである。尤もガリセンダの塔の傾きはかなりのものであるから、時々遠くから眺めてはまた更に傾きが進んだのではないかと心配する。さてアシネッリの塔は高さ97,30mと結構高い。真下から見ると分かり難いので50mも100mも離れて見てみるとよい。背高のっぽの塔である。そしてよく見ると途中で継ぎ足されているのが分かる。そうなのだ、この塔は増築されてこの高さになり、そうして中世のボローニャでは一番高い塔になった。元気のある人、体調の良い人は塔に登ってみるのも良い。古い梯子のような木製の階段を文字通り登るのである。高い所に弱い人は498もの階段をひたすら上を見て登ろう。うっかり後ろや下を見ようものなら眩暈がするというものだ。勿論、足元は滑らない靴が良い。そして手ぶらで挑むのが基本である。途中で引き返したくなることもあるだろう。でももう少し辛抱して欲しい。ボローニャの町を上から眺めることが出来る、多分唯一の手段なのだから。上に登りつめると眼下にボローニャの赤い町が広がる。それは想像していた通りであって、そして想像よりももう少し感動的だ。たったそれだけのこと。だけどそれ見たさに今日も沢山の人が塔を登る、この町を訪れた人ばかりでなくここに暮らす人達も。ボローニャと塔。これは昔も今も切り離すことの出来ないものなのだ。

# by paesi | 2009-05-05 23:30 | ボローニャ旧市街